鉄筋コンクリート造アパートのメリット・デメリット

アパート

賃貸物件の中でも人気があるのが鉄筋コンクリート(RC造)です。今回は鉄筋コンクリートのメリット・デメリットを紹介する前に、鉄筋コンクリートの特徴について触れていきます。

鉄筋コンクリート(RC造)とは

鉄筋コンクリートとは、柱など住宅の骨組みを鉄筋で組み上げ、その周りを囲った枠組みにコンクリートを流し込み固める構造のことです。「Reinforced Concrete(補強されたコンクリート)」を略してRC造友呼ばれています。引張強度は強いですが、熱に弱くさびやすい鉄筋と熱や圧縮強度に強いですが、引っ張る力が弱いコンクリートは、お互いの弱点をカバーしあっているため、より強い性質を持っています。

鉄筋コンクリート(RC造)のメリットとは

鉄筋コンクリート(RC造)は、お互いの短所を補うことで、高い性能を生み出しています。木造や鉄骨造よりも多くメリットが存在します。このメリットにより、集合マンションやビルなどの建材として広く活用されています。

耐震性が高い

鉄筋コンクリート(RC造)は引張強度の強い鉄筋と、圧縮強度に強いコンクリートによって、耐震性に優れた構造になっています。また、全体の重量を面で支えるので建物にかかる負荷が分散し、地震による揺れを最小限に抑えられます。
地震の多い日本において耐震性は気にしておきたいところ。阪神大震災では新規基準に基づいた鉄筋コンクリート(RC造)の倒壊被害はごくわずかなものでした。倒壊リスクが木造に比べて低いのも特徴といえるでしょう。

耐久性が高い

鉄筋コンクリート(RC造)は、木造や鉄骨造に比べても耐久性の高さがメリットです。法定耐用年数は47年と定められています。木造が22年、重量鉄骨造が34年なので鉄筋コンクリート(RC造)の耐久性は一目瞭然です。さらに適切にメンテナンスできれば耐久年数は100年以上になるといわれています。その分、築年数が経った物件にも安心して住めるでしょう。またシロアリ被害にあうこともありません。

耐火性が高い

木造の場合は260度で発火し、鉄骨の場合は900度で崩壊するといわれています。鉄筋コンクリート(RC造)の場合、1000度となっているので、万が一火事が起こった際も燃えにくく、燃え広がるまで時間がかかるため、倒壊することはほとんどありません。

遮音性が高い

コンクリートは気密性が高く重量もあるので、木造と比べて遮音性が高いのも大きなメリットです。生活音が漏れにくいので、同じ建物の住人とのトラブルを避けられます。外部からの騒音も遮音してくれるので、都心部や幹線道路の近くでも、部屋の中に音が響きにくいので、音が気になる人は鉄筋コンクリート(RC造)を選ぶといいでしょう。

デザインの自由度が高い

木造住宅では難しい間取りも、鉄筋コンクリート(RC造)なら実現しやすいというデザインの自由度の高さメリットです。デザイナーズマンションのほとんどが鉄筋コンクリート(RC造)となっています。

鉄筋

鉄筋コンクリート(RC造)のデメリットとは

次に鉄筋コンクリート(RC造)のデメリットを紹介します。

結露やカビが発生しやすい

断熱性の高い鉄筋コンクリート(RC造)の特性上、結露が発生しやすいデメリットがあります。とくに換気を十分に行わない環境で暖房を使うと結露が発生してしまうので注意が必要です。そのため、鉄筋コンクリート(RC造)に住むなら換気口の数が足りているか、窓が風を通しやすい位置にあるかなどを確認するようにしましょう。

家賃が割高

鉄筋コンクリート(RC造)は重量があるため地盤の強さが必要で費用や工期がかかるため、木造や鉄骨造の賃貸物件と比べて家賃が高めに設定されています。メリットを考えれば当然ともいえますが、家賃を抑えたいと考えた場合、デメリットです。ただし、家賃は建物構造だけではなく、立地や広さ、築年数など様々な要素から決まるため、鉄筋コンクリート(RC造)でも手ごろな賃貸物件は存在します。

熱伝導率が高い

鉄筋コンクリート(RC造)は熱伝導率が高いため、夏は暑く、冬は寒いのがデメリットです。夏は太陽の熱気が伝わり、部屋の温度が上がりやすく、冬は冷気が建物を冷やしてしまいます。一度室内に熱が蓄積されるとその熱が逃げにくく、夏になるとどうしても室内の温度が高くなってしまうのです。そのため、築年数の高い建物の場合、部屋の温度調整が難しくなります。また、日当たりのよい部屋も要注意。日当たりの良い部屋ほど室温が高くなります。例えば夏の日差しが強い西向きの部屋は夕方ごろ室温が上がり、夜になっても熱が逃げにくいので暑いと感じてしまいます。築年数の浅い建物だと断熱処理をしっかり行っている物件も多いので、最上階以外はそのような心配も少ないでしょう。
最上階の部屋は日差しが当たり続ける屋上からの熱が伝わり室内が暑くなります。

塩害の恐れがある

塩害とはコンクリートに含まれる塩分によって生じる被害のことです。コンクリートに塩害が生じる発端は鉄筋にあります。鉄筋コンクリートの中には鉄筋が埋め込まれていますが、鉄筋にはサビ対策としてアルカリ性の膜がはられています。しかし、何らかの要因で塩分がつくと、この膜が破壊されてしまうのです。膜が破壊されるとサビやすくなります。鉄筋がサビてしまうと内部で膨張し、コンクリートがその圧に耐え切れず、ひびが入ってしまうのです。また、コンクリートに塩害が起きると、家の腐食だけではなくカビやシロアリが発生してしまう恐れがあります。

電波が入らなくなる

金属のように電気を通すものは電波を通しづらくなっています。鉄筋コンクリート(RC造)の場合、網目状に鉄筋が覆われているので電波状況が悪くなる可能性があります。そのような場合は、窓際に近づいたり、窓を開けたりすると電波状況が改善されることが多いようです。それでも電波状況が改善されない場合、スマホを契約しているキャリアに相談する必要があります。大家に事前に確認し、他にも同じような人がいるならまとめて 相談するのもおすすめです。

鉄筋コンクリート(RC造)の賃貸物件が向いている人とは

部屋

メリットとデメリットを紹介したうえで、鉄筋コンクリート(RC造)の賃貸物件がおすすめの人の特徴をまとめました。

小さなお子さんがいる家庭

お子さんが出す音が気になるという方は鉄筋コンクリート(RC造)の賃貸物件がおすすめです。コンクリートは重量がある材質のため遮音効果が高く、周囲に迷惑をかける心配が少なくなっています。

部屋で楽器を使いたい方

鉄筋コンクリート(RC造)なら防音性に優れるため、楽器を使いたい方にもおすすめです。しかし防音にも限界があるので音量には注意してください。
部屋で楽器を使いたい場合、構造だけではなく窓の防音性に注意しましょう。二重サッシや複層ガラスで作られた窓は防音性が高くなっています。物件情報に記載されていない場合も多いので、内覧時にチェックするといいでしょう。

生活音が気になる方

上階、隣室の生活音が気になりやすい方も、鉄筋コンクリート(RC造)の賃貸物件を選ぶといいでしょう。遮音性の高さがポイントですが、各部屋の仕切りは石膏ボードや木材だったりします。内覧時に壁を軽く叩いてみて、硬くつまった音であれば遮音性が期待できます。

安全性にこだわる方

鉄筋コンクリート(RC造)のメリットである耐震性・耐久性・耐火性の高さは安心して住めます。地震や火災のリスクを考慮すると、家賃が少々高くなっても選ぶ価値があるといえるでしょう。

鉄筋コンクリート(RC造)に住む上での注意点

鉄筋コンクリート(RC造)に実際住むことになった場合の注意点についてお伝えします。

湿気対策が必要

鉄筋コンクリート(RC造)は構造上湿気がたまりやすいデメリットがあります。湿気対策として換気が大事ですので、内覧では換気口の数をチェックしましょう。また、実際に住んでみて湿気に悩まされている場合、換気がうまくできていない可能性があります。
カビが発生してしまうとクロスが剥がれたり、建具が浸食したりすると、退去の際、原状回復費が高額になる恐れがあります。部屋についている換気システムだけでは、換気ができていない場合、除湿機を設置するなどして、除湿することが大切です。

ペットを飼う場合

鉄筋コンクリート(RC造)なら遮音性があるため、ペットの鳴き声は大丈夫だろうと考えがちです。ペット可の物件であれば問題になりにくいですが、中にはそうでない物件に黙ってペットを飼う方がいたりします。無断でペットを飼った場合、違約金を取られることになりかねませんので注意しましょう。

隣室の間取りもチェック

隣室の間取りによっても遮音性は大きく変わってきます。居室の横がクローゼットやユーティリティなどの居室がない部分で構成されると遮音性がより高くなります。居室同士が隣り合わせになっている間取だと、鉄筋コンクリート(RC造)でも音が響きやすいので注意が必要です。遮音性が気になるなら隣室の間取りもチェックするといいでしょう。

暑さ対策

暑さ対策は積極的な換気と日光を遮ることです。サーキュレーターや換気扇を使い室内にこもった熱を排出した後、エアコンをつけるようにすると早く室温を下げられます。サーキュレーターがない場合、扇風機でも効果が期待できます。
もう一つの方法は日光を遮る方法です。簡単にできる方法として遮光カーテンを使って日光を室内に入れないようにすれば、西日などの強い日差しを弱めてくれるので工事の必要もありません。また、すだれを使った方法も直射日光を和らげるのに有効な方法で、日差しが入り込むマンションの室温を下げられます。すだれにはすき間があるので、窓から風が入ってきて空気の流れを維持できるメリットもあるので活用してみるといいでしょう。