よく見かける「定期借家契約」とは
昨今の不動産ブームもあり、都心部など人口の多い土地では賃貸物件がかなり乱立しています。
引っ越しをする人にとっては選択肢が広がってありがたいことですが、その反面で通常の賃貸契約とは異なる方式での契約を前提とした物件も多く見かけるようになりました。
中でも比較的よく見かけるのが「定期借家契約」というものです。
定期借家契約とは借地借家法第38条に定められている契約方法で、簡単に言えば「一定期間に限定して賃貸しますよ」という物件を指します。
要件としては、まず賃貸契約をする時に「定期」とはいつまでであるのかをはっきりと明示し、契約書面を残すことです。
通常の賃貸契約でも重要事項の説明は不動産業者の義務となっていますので、通常の賃貸契約だと思っていたら定期借家契約だったというようなことはありません。
そもそもなぜ定期借家契約というものがあるかというと、従来の借地借家法の規定では大家が賃借人に退去を依頼する時に「正当事由」がなければいけないという厳しい条件があることから、何かトラブルがあっても退去を依頼できないという状況がありました。
そこであらかじめ期間を決めて契約をすることにより、事情によってどうしても退去を依頼しなくてはいけなくなった場合に、速やかに契約を終了できるようにしたというのがこの制度ということになります。
定期借家契約を更新して長く住むことも可能
定期借家契約がスタートをしたのは2000年3月からと比較的新しいことから、不動産業界以外では今ひとつ認知度が低い傾向が見られます。
ここ最近になってかなり多くの場所で定期借家契約の物件が見られるようになっていますが、それは定期借家契約で行った方が都合のよい物件が増加してきているからです。
まず定期借家契約が最も多く使用されているのが「フリーレント物件」と言われる、入居から数ヶ月間は賃料が無料になる物件でしょう。
この「フリーレント物件」は、最初の数ヶ月の賃料を割り引くことで賃貸人を募ることができやすくするとともに、その後一定期間必ず入居をしてくれるということを約束させるというものです。
もし無料で入れる最初の数ヶ月のみ入居をして、その期間が終了したらすぐに退去ということになっては、大家さんは全くの損をしてしまいます。
そこでフリーレント物件で定期借家契約を結ぶことにより、もし期間満了前に退去をする場合には残りの期間分の賃料を支払うといった厳しい罰則が課せられます。
逆に定期借家契約が終了しても、物件の多目的利用や取り壊しといった事情がなければ、賃貸人・賃借人双方の話し合いにより継続して住み続けるということも可能です。
こちらの制度は土地に立つ物件を借地権として所持する場合においても、普通借地権・定期借地権のいずれかの契約を結ばれる可能性があります。
地主側においては、借地権であれば地代を安定的に収入として確保できること、借家権であれば既存の空き家を活用できるなどそれぞれのメリットがありますが、借地権を所持する場合、いざ物件を手放すとなった際に地主の許可が必要になるため手続きに苦労するという人が多くいます。
地主に買取に応じて貰えない、希望額で売却できないなど、土地、不動産の契約に関する悩みは解決することが一消費者では難しい場合もあるため、時には下記のような専門の業者に相談し手助けしてもらうことも必要になるかもしれません。
・日本賃貸住宅管理協会:ご相談コーナー
大きな金額が動く交渉になるため当人以外の専門業者である第3者が仲介した方が取引がうまくいく事例も多いようです。
日本賃貸住宅管理協会は仲介は行っていないようですが無料で入居者、家主、管理会社が抱えているトラブルの解決方法をアドバイスして貰えるとのことでした。
このように1人で悩まずに周りに相談できる会社や機関があることを知っておくことも大切です。